「食物繊維」が「お腹の調子を良くする」ってドユコト!???💩
まず定義をおさえておきましょう。
食物繊維とは、
【食品に含まれる、人の消化酵素によって消化されない成分の総称】です。
そう、定義の通り、実にざっくりしています。
実質的にはそのほとんどが【炭水化物】であり(炭水化物は「単糖を構成成分とする有機化合物」の総称)、栄養学的には以下のように式にできます。
<< 炭水化物 = 糖質 + 食物繊維 >>
炭水化物のうち、 人間が消化してエネルギー源として使える栄養素を「糖質」、 人間の消化酵素で代謝しきれず、エネルギー源として活用できないものの総称を「食物繊維」という。
定義上、厳密には「栄養素」ではないが、人体の健康にとって不可欠な「第6の栄養素」して大事だと言われます。
人間の体が利用できない成分なのに、食物繊維を取りましょう、といわれるはなぜか。
結論から言うと、その理由は「エネルギー摂取以外の機能性があるから」だが、その機能性は以下の2パターンに大別できます。
食物繊維の機能
① お腹の調子を整える
② 食べ過ぎ・栄養の取りすぎを防ぐ
今日はこれを説明します。
食物繊維とは何か
食物繊維には大きく【不溶性食物繊維】と【水溶性食物繊維】があります。
どちらも胃や小腸の消化酵素では分解されないが、
・【不溶性】の方は腸内細菌でも分解されない
・【水溶性】の方は腸内細菌のエサになる(分解され彼らのエネルギー源になる)
という違いがあります。
* 不溶性食物繊維
・セルロース……穀類、野菜、豆類
・ヘミセルロース……穀類、豆類
・ペクチン……未熟な果物、野菜
・イヌリン……ごぼう、きくいも
* 水溶性食物繊維
・β-グルカン……大麦、オーツ
・ペクチン……熟した果物
・アルギン酸……こんぶ、わかめ
・グルコマンナン……こんにゃく
ちょっとわかりにくいですが、
・食物繊維全般は、人間が消化できない難消化性成分。
・そのうち、水に溶けないものが不溶性食物繊維(「難溶性」とも言われるからややこしい)
・そのうち、水に溶けるものが水溶性食物繊維。
と、整理して覚えてくださいね。
食物繊維の機能
どちらの食物繊維も保水性があり(水がまとわりつきやすく)、消化管の中でゲル上になったり、食べ物の塊を大きくする作用があります。
そのため、栄養を吸収する小腸内ではその消化を穏やかにし、大腸では腸のぜん動運動を活発にして排泄を促します。
特に【不溶性食物繊維】は人間にも腸内細菌にも分解されず、そのまま排泄されるので、「便の量の増加」に大きく寄与します。
便の量が増加すると、基本的には腸のぜんどう運動は活発になり、便通がよくなります。
また、そもそも【不溶性食物繊維】はその構造が強固で(主に植物の細胞壁であるセルロース)、水を含みながら食べ物をカサ高くしています(レタスやキャベツを想像してください)。
このことが食事の際の「そしゃく回数」をあげ、消化液の分泌も促し、食べ物の消化の緩慢化や腸のぜん動運動の活性化にもつながています。
一方、【水溶性食物繊維】の方は、水に溶け、腸内細菌の消化酵素によって分解されるという特性があります。
いってみれば、乳酸菌などの腸内細菌のエサになります。
これによってエネルギーを得た腸内細菌は活発に活動・増殖し、酪酸や酢酸などの酸性物質を作り出します。
腸内が酸性になると、酸性条件が苦手な大腸菌などの悪玉菌が増殖できず、結果的に人間の体にとって良い「善玉菌」がリッチになります。
詳しいメカニズムはまだ不明ですが、このことが下痢や大腸がんなどの疾病を予防に繋がっていると考えられています。
また、善玉菌によって産生された有機酸が第腸壁を刺激して、ぜん動を促進することで、便通を良くするとも言われています。
上記を踏まえ、最初にあげて食物繊維の機能の2パターンをもう少し分解するとこうなります。
① お腹の調子を整える
1-1. 分解されず、排便量を増やすことで腸のぜん動運動を活発にする。
1-2. 腸内細菌のエサになり、善玉菌が増えることで腸内環境が良くなる。
② 食べ過ぎ・栄養の取りすぎを防ぐ
2-1. 咀嚼回数が増えたり胃で膨らむことにより満腹感を与える。
2-2. 食塊の大きさや粘性をあげ、糖質や脂質の吸収を抑制する。
食物繊維の機能①:お腹の調子を整える
1-1. 分解されず、排便量を増やすことで腸のぜん動運動を活発にする。
⇨主に【不溶性食物繊維】:
便通に重要なのは物理的な便の量です。西洋化した日本人の現代の食事が問題だと言われるのは、肉や油ばかり摂取し穀物や野菜から食物繊維を取らないことで、便の量が少なくなり、腸のぜん動が不活発になる、という要因が大きいです。
また、便とともに余分な脂肪や胆汁酸やその他の不要物質を吸着して排出する機能があります。
1-2. 腸内細菌のエサになり、善玉菌が増えることで腸内環境が良くなる。
⇨ 主に【水溶性食物繊維】:
水に溶け腸内細菌のエサとして利用されることで、病原菌の繁殖を防いだり、酸の産生を通して便通を促したりします。
我々人間はおよそ30−60兆個の細胞でできていますが、体内にはそれよりはるかに多い100兆個以上もの細菌が存在していると言われています(およそ1-2kg)。
そのほとんどは腸内に存在し、我々はたくさんの別の生き物と共存しているわけです。
その腸内細菌のうち、体にとって良い働きをするものを【善玉菌】、悪さをするものを【悪玉菌】、そのどちらにでもなりうるものを【日和見菌】と何と無く呼んでいます。
「たくさん増えた結果体の調子がよくなるから善玉菌と呼んでいる」くらいのニュアンスなので、厳密な定義はないのが実際です。
善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌、悪玉菌にはブドウ球菌や大腸菌(有毒株)、日和見菌には大腸菌(無毒株)や連鎖球菌などが含まれます。
基本的に微生物の世界は数の暴力の世界なので、多少悪玉菌がいようが、善玉菌がしっかり幅をきかせていれば健康上のリスクは小さくなるので、この善玉菌を増やしてあげることが必要です。
善玉菌を増やすには、善玉菌自体を摂取するか、善玉菌のエサを摂取することが必要ですが、これらの菌は胃酸によって死滅してしまうので、しっかりとエサを与えて、今いる菌を増やしてあげないといけません。そのエサが「食物繊維(主に水溶性)」だから、その摂取が重要というわけです。
2-1. 咀嚼回数が増えたり胃で膨らむことにより満腹感を与える。
⇨ どちらもだが主に【不溶性食物繊維】
食物繊維は主に植物の対構造を担っており、レタスやキャベツを食べるとわかるように、物理的なかさ高さに繋がっています。よく噛むことが満腹感を増すことは周知の通りです。
2-2. 食塊の大きさや粘性をあげ、糖質や脂質の吸収を抑制する。.
⇨ どちらもだが主に【水溶性食物繊維】:
水溶性食物繊維は胃の中で水分を吸収して膨らんだり、小腸で粘り気のあるゲル状になって食物の拡散を防ぎ、分解を遅らせます。
このことは空腹感を減らすだけでなく、糖質や脂質の吸収を遅らせて、血糖値の上昇を穏やかにしてくれたりもします。
この作用によって、水溶性食物繊維の一種である【難消化性デキストリン】は、「お腹の調子を整える」&「血糖値の上昇を抑制する」特定保健用食品の成分に指定されています。(最近はやりのトクホのコーラとかに入ってる)。
まとめ
以上、食物繊維の機能を見てきました。
メリットばかり紹介しましたが、体にいいからって取れば取るほど良いってものでもなく、腸のぜん動を活発にするということは「お腹がゆるくなる」「下痢になりやすい」ということでもあるし、栄養素の吸収を抑制するということは、「消化に悪い食べ物」ということもできます。
もともと弱った体でたくさん食べると、消化不良を起こしたりもするというわけです。
また、一般的には便通を促し便秘を改善するのですが、あまりに腸の活動が悪い便秘の場合に不溶性食物繊維をたくさんとって便量を増やしてしまうと、詰まっていた便がさらに詰まり、余計に水分が吸収されて固くなって便秘が悪化する…という可能性もあり得ます。
このような副作用を減らすには、水溶性食物繊維を「十分な水分補給」とともに摂取することが推奨されています。
水分不足や運動不足やストレスも、便秘の大きな原因とされています。
女性はホルモン的にも便秘になりやすいので、十分な水分摂取と適度な食物繊維摂取、そして適度な運動を心がけましょう。
※日本人の食事摂取基準(2015年版)では、食物繊維の目標量は、18~69歳では1日あたり男性20g以上、女性18g以上とされています。
ちなみに、食品に含まれる食物繊維の重量の例は以下。
・じゃがいも一個:1.4g
・ライ麦パン一個:4g
・中華麺ひと玉:2g
・にんじん一個:3.5g
・ごぼう一本:10g
・きゅうり一本:1g
・本しめじ1パック:3.3g
・バナナ一本:1.7g
・アボカド一個:12g
・りんご一個:4.7g
・木綿豆腐1丁:1g
・ひきわり納豆1パック:3g
・焼き海苔1枚:2g
詳しくはここ参考にしてね。
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/intake/foods-amount/
もっとざっくりとしたまとめ
・食物繊維とは、糖質に似てるけど人間が消化できない炭水化物で、ねっとりして消化を穏やかにしたり、ウンチの量を増やしたり腸内細菌のエサになったりして、腸の動きを活発にしたり善玉菌を増やしたりして、お腹の調子を整えるよー!
◆断食フィットネスジム奥多摩◆
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