勘違いが太る原因?ダイエットの大誤解
誤解①「7200kcalで ー1kg」
まず、どんな栄養士もトレーナーも誤解しているのがこれ。
長期の減量計画においては、7000~7200kcalを減らせば1kg落ちる、というのは間違っています。
正しくはその半分くらいなのですが、日本の運動指導者のほとんどがこのことを知らないのは嘆かわしいことでしょう。
勉強したい方は、国際的な医学雑誌Lancetに掲載されたアメリカ国立衛生研究所の論文を読んでみて下さい。
Hall KD et al. Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet. 2011;378(9793):826-837.
誤解②「食事の量を減らさないといけない」
これもありがちな間違いです。
量を制限してはダイエットの成功は望めません。
カロリーではなくカロリー密度を下げ、お腹いっぱい食べて痩せるダイエットを目指しましょう。
誤解③「とりあえずジョギング」
一般的に、運動だけではあまり減量効果は見込めません。
気持ちよく汗をかいた分、お腹が減ってしまうからです。
また、ジョギングは費用対効果を考えると効率的なエクササイズでもありません。膝にも悪いです。
速歩やウエイトトレーニングなど、より筋肉を刺激する運動を選びましょう。
誤解④「食事の回数を減らすと太る」
食事の回数を減らすほど太りやすくなる、と言いますが、科学的根拠はあまりありません。
正確には「食事をスキップしている人ほど太っている傾向が高い」だけであり、同じ量なら食事の回数が3回より2回の方が痩せるに決まっています。
インパクトファクターで世界の5本指に入るBMJの2019年のメタアナリシスでも「朝食を追加することが減量の良い方法ではない」とありますし、他の研究でも、あえて高頻度にする意味もないし、むしろスキップしたほうが良いのではないかと考えられています。
過度に空腹と暴食を繰り返すことはもちろん良くないですが、適度な範囲で空腹を感じた方が、減量と健康にも良さそうです。
Sievert K et al. Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2019;364:l42.
Taguchi M et al. Increasing Meal Frequency in Isoenergetic Conditions Does Not Affect Body Composition Change and Appetite During Weight Gain in Japanese Athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2021;31(2):109-114.
Kahleova H et al. Meal Frequency and Timing Are Associated with Changes in Body Mass Index in Adventist Health Study 2. J Nutr. 2017;147(9):1722-1728.
Paoli A et al. The Influence of Meal Frequency and Timing on Health in Humans: The Role of Fasting. Nutrients. 2019;11(4):719.
誤解⑤「コツコツ痩せるべき」
これも実は誤解。
「急激なダイエットでは成果は出ない」と言いますが、医学的根拠は逆を支持しています。
世界トップクラスの医学ジャーナルNEJMの2013年版に、上記誤解が「ただの神話」であることが述べられています。
ダイエット初期の短期間で減量を達成した者ほど、長期でも成功すると、データが示しています。
ダイエットにおいては、カメではなくウサギが勝ってしまうようです。
Casazza K et al. Myths, presumptions, and facts about obesity. N Engl J Med. 2013;368(5):446-454.
肥満になる原因
肥満になり健康から遠ざかるということは、運動・栄養・休養のうち、何かが足りないか乱れているということ。
「肥満」には必ず原因があります。それでは、「原因を潰せば肥満はなくなる」と思うかもしれません。
しかし、「知らず知らずのうちに太る」ということは、「あなた一人では対処できない」何かが起こっているというサインでもあります。
「肥満」といっても高度に複雑化した問題であり、ダイエットには高度な知識やスキルが求められるのです。
長期的な成功のためには、一人で安易な減量法に走るのではなく、「本物の栄養」を学んだプロに相談するようにしましょう!
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