今回は考えながら読んで欲しいので、はじめに要約は書きません。
はじめに
「朝ごはんを食べましょう」って、よく家庭とか学校で耳でイカが焼けるくらい聞いてきたよね。
朝ごはんを食べるメリットについては、
・体を覚ます
・一日の良いリズムをつける
・血行や代謝をあげ昼間に向けて活力をつける
みたいなことが言われてて、まあだいたいは正解なんだけど、
『朝ごはんを食べないとむしろ太る』
という説を聞いたことはあるかな?
これは実際事実で、以下の研究で、
https://academic.oup.com/ajcn/article/92/6/1316/4597490
朝食を食べる習慣がある人に比べて、朝食を食べない人は、
・腹囲
・空腹時インスリン濃度
・総コレステロール量
・LDLコレステロール量(”悪玉コレステロール”)
が全て高く、総じて肥満度と心血管疾患のリスクが高い。
ということがわかりました。
朝食を抜くと良くない、という馴染み深いお説教の説得力がさらに高まったことになりましたが、よくよく考えてみると、食べる量はそのままに、朝食を抜けば、総摂取カロリーが減って痩せるはず。
では、なぜ朝食をとらないと太るのでしょうか?
なぜ朝食を摂らない人は太っているのか?
実際のところをはよくわかってないのですが、一般的に言われるロジックは、
① 朝食を抜くことでお腹が減り、昼食や間食が増え、結果的に摂取カロリーが増える。
② 空腹時に体がエネルギーを節約して、脂肪として溜め込みやすい体になる。
などです。
至極もっともらしくも聞こえるのですが、原因①に関してはアメリカで行われた権威ある研究結果があります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3021425/
これは、アメリカの子供達に朝食を抜いてもらい、空腹の程度のその後の食事で摂るエネルギー量を測定した調査です。
Figure.1を見れば分かる通り、
・朝食を抜いた日は、朝食をとった日に比べて空腹度が高い
という結果が如実に表れてます。そんなの当たり前のことですが、面白いのは2枚目の図。
両者の一日の摂取カロリー量を比べたところわかったのは、
・朝食を抜いたときよりとった時のほうが、昼食をより多く食べていた
・夕食は朝食を抜いたときのほうが多かった
・結果として、朝食を抜いた日の方が1日の摂取カロリーは少なかった。(ちょうど抜いた朝食分くらいのカロリー差)
なんと、「朝食をぬいたときのほうがかえって摂取カロリーが多いに違いない」という見当が外れて、普通にその分カロリーは少なかったという結果でした。
僅差ですが、朝食をちゃんと食べたときのほうが、より昼食を食べていた、というのも面白い結果ですね。
また、アメリカの国民健康調査でも似たような結果が出ていて、
https://www.sciencedirect.com/…/…/abs/pii/S0031938413001479…
・朝食を抜いたときは全食事が比較的多くなっていたが、1日のトータルでは、朝食をとったときのほうが多かった。
と結論づけられています。
権威ある論文群でこの結果が出ていることを考えると、どうも
・朝食を抜くと、その分摂取カロリーは少なくなる
と、普通に考えて良さそうです。
では、考えられるのは原因②の
「体がエネルギーを節約して、脂肪を蓄えやすくなる。」なのか?
残念ながら、こちらの説に関しては、その因果関係を明示する研究結果は出ていません。
じゃあどうなってるんだ!!??と疑問に思うでしょう。
ここで、ネタバラシです。
「朝食を抜く」ことと「太る」ことの因果関係を考える前に、
『朝食を抜く人とはどんな人たちか?』
と、考えてみてください。
実は最初に紹介した、「朝食を抜いたほうが肥満リスクが上がる」と示す論文には、続きがありまして…
この研究では、それぞれの【健康的な生活スコア】なるものも調べられていて、
朝食を食べない習慣がある人たちは、食べる人たちに比べて
・より体を動かす習慣がなく、
・その分テレビを見る時間が多く、
・野菜や果物を食べる量が少なく、
・赤身肉やジャンクフードを食べる量が多い
と言う相関が出ており、健康度スコアが低くなっています。
なんとなく、カラクリがわかってきたのではないでしょうか?
ここで大事なのが、【因果関係】と【相関関係】の違いしっかり区別することです。
【相関関係】とは、
Aが増えれば Bも増える。Aが高ければBも高い。あるいは、Aが高いほどそれに比例してBは低くなる。
というような、大小の変動に対して「どちらかが変われば、それに応じて片方も変わる傾向がある」くらいの関係です。
「y = ax + b」という関係で表されれば、ざっくりそれは「相関がある」ということなのです。
【因果関係】とは、
Aが原因でBが起こる。Bという結果があるということはその背景にはAがある。という、原因と結果の関係です。
「A → B」で表され、「メカニズム」と言ったほうがイメージしやすいかも。
両者は概念が異なる関係であり、よくある勘違いが、
『AとBに【相関関係】があればそれがそのままを結ぶ【因果関係】となる』
と思ってしまう勘違いです。
ここで言えば、データが示すのは「朝食を抜く人ほど、肥満度が高い傾向にある」という相関関係であり、
「朝食を抜くと→その結果として太る」という因果関係を示した訳ではありません。
先ほどの健康度スコアの結果を見ると、
・「朝食を抜きがちな人は、(性格・環境的に)運動をすることが少ない傾向がある」という相関関係があり、
・「朝食を抜きがちな人達には、ジャンクフードを食べる人が相対的に多い」という相関関係があるようです。
一方、「運動をしないと→消費カロリーが少なく→結果的にカロリーオーバして太る」というのは、よく知られた【因果関係】であり、このような別の【因果関係】が隠れているおかげて、
「朝食を抜いている人たちは、太っている」という相関が表れている
と見るほうが賢そうですね!
ここからは僕の個人的な偏見を含みますが、まとめると、要は、
「朝食を抜く」人たちって、
・朝食べる時間がないほど忙しい、とか
・遅寝遅起き、とか
・不規則な生活してたり、
・怠惰だったり、
相対的に、自己管理ができてなくて、健康意識の低い人たちってこと。
「朝食を抜く人たち」は「生活習慣がなってない人たち」の集団とかなり被ってて、
それぞれのいろんな不健康な要因によって、その分肥満度も上がっている、ということ。
決して、「同じ人が、朝食を食べる習慣から抜く習慣に変えたら、太る」って意味じゃない。ってことに注意しましょう。
以上を踏まえてアドバイスをすると、
太りたくなかったら、規則正しい生活をして、十分な睡眠をとって、朝食をよく味わって食べましょう。ってこと。
『朝抜くと太るから〜!』って焦って早食いする必要はないし、きっとそれは太るリスクを高めることになるよ。
まずは、「朝食を抜かなくてもいい」生活環境をととのえ、自分を見つめ直すことで健康意識をあげて、このブログをきちんと読むようにしましょう!w
今日はここまで!
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参考:
この記事の内容はほとんどこの本から取ってます。これ以外にもエビデンスベースで面白いトピックばかり載ってるので、興味ある人は読んでみることをお勧めします。
佐々木敏『佐々木敏の栄養データはこう読む!』, 女子栄養大学出版部, 2015/4/2, p.164 – 172, (ISBN-10: 4789554422, ISBN-13: 978-4789554428)
◆断食フィットネスジム奥多摩◆
https://kagakutokenkou.com/
<住所>
〒198-0106 東京都西多摩郡奥多摩町棚澤828-2
<概要>
奥多摩町にある断食指導ジム&フィットネスジム。栄養士に栄養を教え、医師に健康を教え、トレーナーにトレーニングを教えている。
減量や脳機能改善、デトックスなどが期待できる断食(ファスティング)プログラムの指導や、合宿形式での断食道場、断食指導者育成事業を展開しております。宿泊可。
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https://lin.ee/4Alh7I6
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